令和3年4月12日、「相続等により取得した土地所有権の国庫帰属に関する法律」が国会で成立しました。
施行は公布後2年以内ですので、令和4年度中までには施行されると思われます。
この法律は、所有者不明土地の発生の抑制を図るため、相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限ります。以下「相続等」といいます。)により土地の所有権又は共有持分を取得した者等がその土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度です。
成立の背景
民法では、「所有者のない不動産は、国庫に帰属する。」(239条2項)と規定されており、土地の所有者であれば所有権を放棄することによって所有者がいない土地になり、国庫に帰属する=国の所有物となるという考え方もあります。
しかし、土地の所有権は、固定資産税の納付等管理する義務も含むものであり一方的に放棄することはできないという考え方が裁判例、実務では主流です。
被相続人が亡くなると、相続放棄(所有権放棄とは異なります)をしないと、相続を承認したものとみなされるため、相続人は自動的に相続財産である土地の所有権を取得します。
この土地が売却できれば良いのですが、様々な理由で売買できない土地が増えています。売買できない土地は相続登記さえされず、そのまま所有者不明土地となる要因となっています。
国庫帰属が認められる要件
法務大臣は、承認申請に係る土地が次のいずれにも該当しないと認めるときは、その土地の所有権の国庫への帰属についての承認をしなければならないこととされました。
(1)建物の存する土地
(2)担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
(3)通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
(4)土壌汚染対策法第2条第1項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超える者に限る。)により汚染されている土地
(5)境界が明らかでない土地その他所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地
その他、傾斜地、管理を阻害する工作物、樹木がある等管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地は国庫への帰属が認められません。
さらに、10年分の管理費用を納付する等承認要件はかなり厳しいといえます。
まずは当事務所へご相談ください。