私道に関する問題~個人が所有する私道でも、使用に制限がある場合があります。
土地所有者は、所有権に基づき原則として自由にその土地を使用できますので、通行権を有しない第三者が単に事実上通行しているに過ぎない場合は、道としての使用を廃止し、または用途を変更して宅地として使用することもできます。
しかし、第三者が通行権を有している場合や、建築基準法の道路とされている場合などは所有者であっても使用に制限が出てきます。
1 民法上の通行権
私道を通行することについて、契約により、他に賃借権や地役権などの通行権を有する者がある場合は、私道の廃止・変更をする際にはこれら通行権を有する者の同意を得なければなりません。
いったん成立した契約内容を変更するには相手方の同意が必要となるからです。また、契約がなくとも、第三者の通行が相当期間に及んだ場合や、通行を黙認していた等、一定の事情がある場合には、時効や黙示の合意として通行権が認められる場合があります。
さらに、他人の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者には、袋地通行権が発生します。この袋地通行権は当事者の合意ではなく、袋地の有効利用のために社会経済的見地から認められる通行権ですので、所有者であっても一方的に変更できないことはもちろん、袋地の所有者との間の合意でも通行権の廃止・変更を行うことはできません。
これら、通行権を有する者があるにもかかわらず、一方的に私道を廃止・変更した場合には、通行の妨害排除を請求することができます。
2 建築基準法上の道路
建築基準法では、都市計画区域内の土地に建物を建てる場合には、建物の敷地は原則として4メートル(場合によっては6メートル)以上の幅の道路に、2メートル以上接していなければならないことになっています(接道義務)。この場合の道路には、行政庁から道路の指定を受けた私道が含まれています。
例えば、自らの土地に家を建てるための接道義務を果たすために、土地の一部を私道を道路として指定をもらっていた場合、後に、勝手に私道を廃止・変更することを認めてしまうと、そもそも建築基準法で接道義務を設けた意味がなくなってしまいます。
そこで,行政庁は,接道義務に反する私道の廃止・変更を制限することができることとしています。
このように、道路の指定を受けているときは、私道の自由な廃止・変更が認められない場合があります。
3 まとめ
以上のように、私道の使用にもいろいろな制限がありますが、いずれも細かく理解するには専門の知識が必要です。
私道のトラブルには、宅建業者・建築士・法律家等専門家にご相談ください。