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コラム

2020年基準地価発表

9月29日、国土交通省より基準地価が発表され話題となりました。
公的な土地の価格の主なものに、公示地価、路線価、というものがあります。
同じ地域なのに価格が違ったりと、一般の方には分かりにくいところがあります。

これは、価格を決定・公表する理由の違いからくるものです。

1 基準価格とは

国土利用計画法施行令に基づき国土利用計画法に定められている取引に際しての届出等の価格審査の基準を目的として、都道府県知事が、毎年1回その年の7月1日時点の標準的な土地(基準地)を選定し、その価格(標準価格)を判定し公示した土地の価格です。

毎年9月下旬に発表されます。

2の公示地価と目的は同じ趣旨ですが、公示地価のように都市計画区域内に限らず、広範な土地の価格を公示しています。

2 公示地価とは

地価公示法に基づき、国土交通省の土地鑑定委員会が毎年1回公示する価格です。
その年の1月1日時点の価格を3月中旬に発表します。

公示地価は、土地の取引価格に対して指標を示すほか、公共事業用地の取得価格算定のための規準とするなど、適正な地価の形成に寄与することを目的としたものです。
路線価のように、課税目的で評価するものではありません。
したがって、国内全ての土地について公示されるものではなく, 都市計画区域内の土地または省令で定められた区域の特定の土地(標準地)が対象となります。

売主買主の個別の事情(例えば、安くても早く売りたい売主の事情や、実家の近くなので高くても買いたい買主の事情など)は考えず、更地として土地の効用が最高度に発揮できる使用方法を想定したうえでの評価が行なわれます。

3 路線価とは

路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」(固定資産税評価額を決める際の基準となる価格)の2種類がありますが、一般的に路線価といえば「相続税路線価」のことをいいます(この稿で「路線価」というときは相続税路線価のことをいいます)。
路線価は、相続税法に基づき,国税庁がその年の1月1日時点の価格を7月初旬に公表します。
路線価は、相続税及び贈与税の算定基準となる土地評価額で,課税する目的で決定する価格です。
路線価は、「路線(道)」に対して価格が決められます。
路線に面する土地はすべて同じという考え方です。
ただし、適宜、敷地の形状などに応じて個々に補正を行います。
公示地価の8割程度が目安とされています。

4 固定資産標準価格

地方税法に基づき、総務大臣は、固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続を定めた「固定資産評価基準」を告示しなければならず、市町村長が、この「固定資産評価基準」によって、課税標準となる固定資産課税台帳に登録するために決定した価格です。
文字どおり固定資産税の課税を目的としています。
3年に一回決定されるので、実際の取引価格とは異なることが多々あります。

5 正しい?土地の価格

以上のとおり、基準地価、公示地価は土地の適正価格の形成目的、路線価、固定資産標準価格は課税目的で決定・公表するものですので、どちらが「正しい」土地の価格ということはありません。
実際に取引される個別的な土地の価格は、売主買主双方の事情に大きく左右されます。
公的機関が発表する価格に加え、近隣の取引事例など様々な要因を基に最終的に売買の当事者間で決定されます。
よく、「不動産取引はタイミング」といいますが、土地取引での価格に関してはこの言葉が一番「正しい」のかも知れません。

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