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コラム

「中間省略登記」と「第三者のためにする契約」、「契約上の地位の譲渡」

 

「中間省略登記」とは

 

例えば、Aが所有するある土地をBが購入し、さらにBからCが購入した場合、所有権はA→B→Cと移転しているにもかかわらず、登記上中間者Bを省略して直接A→Cとする登記を「中間省略登記」といいます。

中間省略登記は実体を反映していない申請であるので、虚偽の登記を行ったものとして刑法157条公正証書原本不実記載罪に該当する可能性もあります。しかし、一定の場合には中間省略登記も無効でないとする判例もあったことから、平成17年の不動産登記法改正までは、登録免許税の節税?のため不動産取引において頻繁に行われていました。

 

不動産登記法の改正

 

しかし、平成17年に不動産登記法が改正され、登記申請に「登記原因証明情報」が添付書類となったことで事情が変わりました。それまでは、AとCのみで申請が可能でしたが、登記原因証明情報には、権利の変動過程をすべて記載しなければならず、A、B、C全員が権利変動の証明をしなければなりません。

中間者Bの関与なくして登記申請ができなくなってしまったのです。
そこで、A、B、C全員が権利変動の証明をしたうえでAから直接Cに名義を変えるために「第三者のためにする契約」、「契約上の地位の譲渡」という契約方法を利用することになります。

 

「第三者のためにする契約」「契約上の地位の譲渡」

 

この理論は、不動産登記法の改正により新しくできたものではなく、以前から特殊な契約として使われていた方法です。
「第三者のためにする契約」は、特約条項をAB間・BC間の二つの売買契約に盛り込むことによって、売買契約はAとB、BとCで順次締結されているものの、法律上の所有権はBに移転せずAに留保され、各代金支払いによって直接AからCへと移転するという法律上の効果を発生させる契約です。

また、「契約上の地位の譲渡」は、AとBの間で売買契約を締結し、残代金を支払って所有権が移転する前に、BがAB間の売買契約の買主としての契約上の地位をCに譲渡するというもので、AからBへ所有権が移転する前に契約上の買主をBからCへ入れ替えることによってAB間の売買をAC間の売買とするものです。
いずれも、法律上の所有権はBを経由せず、AからCへと直接移転することになるため、B名義の登記を要せず、AからCへと直接移転登記を行うことが可能になります。

 

 注意点

 

いずれも、例えば、AB間で何らかのトラブルあった場合には、いずれの方法もその影響がダイレクトにCまで影響してしまいます。我々も不動産取引に不慣れな方にはお勧めしません。かなり技巧的な契約ですので、法律の趣旨を理解せずに安易に行うと後々のトラブルになりかねませんのでご注意ください。

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