司法書士事務所の法人化
1 司法書士事務所の法人化
平成13年3月30日閣議決定された「規制改革推進3か年計画」において、国民の資格者に対する複雑で多様なニーズに応えるために、資格者による継続的かつ安定的なサービスを提供するための法人制度を検討することとされました。これを受けて、司法書士法の改正(平成14年5月7日法律33号、平成15年4月1日施行)がなされ、司法書士法人化が制定されました。
2 司法書士法人の数
令和4年4月1日時点で、司法書士法人数は995法人となっています。法人化が認められて以降、法人の総数は増加傾向にあり減少したことはありません。
特に、令和2年8月1日改正により一人であっても司法書士法人を設立することが可能となったため、コロナ禍にもかかわらず、法人化の設立件数は増加しています。
3 司法書士法人のメリット
改正法の立案担当者は、法人化のメリットについて、以下の点を挙げています(『注釈司法書士法(第3版)』テイハン)。
① 法人格
⑴ 個人財産と事業財産との明確な区分
⑵ 法人名義の契約による事業運営基盤の強化
② 共同化
⑴ 分業化・専門化による業務の質の向上
⑵ 担当司法書士の事故の場合等による業務の安定的供給
⑶ 複数社員の無限責任による賠償能力の強化
上記①、②⑵のメリットについては、司法書士に限らず全ての個人事業所との比較と同様です。
②⑴に関して、私の知る司法書士法人では、不動産登記、商業登記で分業するのみならず、不動産登記の中でも、「売買」、「相続」、「証券化」と更に細分化して専門性を高める法人も存在します。②⑶は特に依頼者に対してメリットとなり得ます。
個人事務所の場合、万が一の賠償責任については当該司法書士個人の責任に限られますが、法人であればその範囲は大きく広がります。ただし、現在は司法書士が賠償責任保険に加入しているので、実際の賠償は保険でカバーされると思われます。