景気の好不況にかかわらず、仕事や家庭の環境の変化により当初予定していた住宅ローンの支払いが難しくなることは、誰の身にも起こり得ることです。
支払いが滞った状態を放っておくと、いずれは競売によって住宅は強制的に売却されてしまいます。
そうなる前にできることを考えてみましょう。
1 まずは相談
まず、支払いを滞る前に、住宅ローンを組んだ銀行等に相談してみることをお勧めします。
ここで、自分が支払える範囲で、返済金額・期間の変更をすることをお願いするのです(銀行等では「条件変更」といいます)。
ただ、延滞が長期にわたると遅延損害金が多額になります。そうなると、損害金の支払いだけでも多額になり、条件変更が難しくなります。できるだけ早い段階での相談が肝要です。
なお、令和2年12月1日から、新型コロナウイルス感染症の影響で住宅ローン以外の返済が難しくなった方向けの政府援助が始まりました。
詳しくはこちらをご覧ください。
2 任意(にんい)売却(ばいきゃく)とは
「条件変更をしても支払いは難しい」、または「住宅を手放しても構わないから返済を終わらせたい」場合もあります。もちろん、だからと言ってそのまま放っておくと競売にかけられてしまいます。
競売手続きの基準価格は、一般的に市場価格よりも低く設定されています。
安く売却された場合、ローンが全額返済できないことがあります。競売でも全額返済できなかった場合、残額の支払い義務は残ります。
競売手続き中に支払いをしていなければ、その分の遅延損害金も加算されてしまいます。
そこで、競売手続きで売却されてしまう前に、借主と貸主である銀行等の合意で売却すること、このような不動産売却の方法を、裁判所を通さない(強制ではない)という意味で「任意売却」といいます。
任意売却では、銀行等との交渉など通常の売買よりも手続きが難しくなるため、不動産会社に仲介してもらうことがほとんどです。
任意売却では、売却価格が明確になるため返済案が立てやすく、また、一般の売却と同じ販売活動を行うので近隣に事情を知られないなどのメリットがあります。
買い手がつけば、市場価格での売却も可能です。
金融機関も競売より任意売却のほうがより時間がかからず、多くの回収が期待できるというメリットがあります。
3 早めの行動
住宅ローン以外の借金がある場合には、任意売却以外にも法的手続きも考えなければならないこともあります。しかし、いずれにせよ、住宅ローンの支払いが難しくなった状態を放置しておいては、状況は悪くなる一方です。早めの相談、行動をお勧めします。