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コラム

商業登記申請の義務と罰則について――知らぬでは済まされない「登記」の責任

会社経営者や役員にとって、商業登記は避けて通れない法的義務の一つです。登記と聞くと、会社設立時の手続きだけを思い浮かべがちですが、実際にはその後の会社運営においても、変更があるたびに登記を行う必要があります。では、なぜ商業登記が義務付けられ、怠った場合にどのような罰則があるのでしょうか。

商業登記は、会社の基本情報――例えば本店所在地、代表取締役の氏名、資本金の額、事業目的など――を法務局を通じて社会に公開する制度です。これは、会社の取引先や債権者、投資家といった第三者が、その会社の実態や信用状況を把握しやすくするために不可欠な制度です。つまり、登記の正確性と最新性は、取引の安全を支えるインフラとも言えるでしょう。

商業登記法では、会社に関する一定の事項に変更が生じた場合、原則としてその変更の日から2週間以内に登記申請をしなければならないと規定されています(会社法第915条など)。たとえば、取締役の交代、本店移転、目的変更、資本金の増減はこの対象です。なお、株主の変更は登記事項ではないのでこれに含まれません。

では、この義務を怠るとどうなるのでしょうか。実はこの点を軽視している中小企業・小規模事業者は少なくありませんが、法的には明確な罰則が定められています。会社法第976条では、登記を怠った者に対し、100万円以下の過料を科すことができると定められています。過料とは刑罰ではなく行政上の制裁です。裁判所の決定に基づき納付書が送付されます。これを無視すると強制執行される可能性もあります。実際の過料の金額は放置した期間などで変わります。実務上、2~3年の登記懈怠で5〜10万円程度がほとんどです。

さらに、登記が遅れることで発生するリスクは、罰則だけにとどまりません。代表者変更の登記を怠ったまま契約を締結した場合、その契約の有効性に疑義が生じることもあります。信用を重視する取引社会において、登記の不備は思わぬ信用リスクを招くのです。

実務では、変更登記を見落としがちになる場面も多いですが、登記の遅れが会社経営に与える影響は侮れません。登記記録上、変更の日付と変更登記の日付が両方記載されるため、登記が遅れたことが外部にも知れてしまい、コンプライアンス上の懸念も生じます。登記義務を正確に把握し、法定期間内に申請を行うことが、健全な企業活動を支える第一歩です。登記は単なる事務作業ではなく、「会社の顔」を社会に示す重要な行為なのです。

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